肝臓病とは

更新日:2015年2月17日
肝検診などの血液検査で肝機能異常を指摘された方も多いと思います。
 
GOT(AST)、GPT(ALT)がよく知られている項目で、およそ40以下が正常です。
この数値が一体何を意味しているかご存知ですか? 
 
これらは本来肝臓の細胞の中に含まれる酵素という蛋白質なのですが、細胞が壊れると血中に漏れ出します。
したがってこの値が高いことは、原因の如何にかかわらず現在多くの肝臓の細胞が壊れていることを意味するのです。
 
例えばA型急性肝炎では3000程度の値をとり短期間で元に戻ることがありますが、一度に多くの細胞が壊れていることがわかります。
C型慢性肝炎では60程度の値が長く持続することがありますが、少しずつ少しずつ肝臓の細胞が壊れていることがわかります。
 
それではそんなに細胞が壊れてしまって大丈夫かという心配が起こるのは当然です。
あまりご心配なく。肝臓は再生する臓器です。
肝炎などで少々肝細胞が傷害され減少してもその分再生しリカバーします。
健康な肝臓であれば半分切除してもまた再生し大きくなります。
トカゲの尻尾を切ってもまた生えてくるようなものです。生体肝移植では肝臓を提供したドナーの残った肝臓、肝臓を受け取った患者さんの移植された肝臓は少しずつ大きくなり、正常に近い活動をするようになります。
 
勿論限界はあります。劇症肝炎では肝細胞がねこそぎ無くなってしまうようなことが起こりますが、再生が追いつきません。またC型慢性肝炎のように長年障害を受けると、再生は起こりますがその過程での傷跡がつきます。“ペンだこ” のようなものを思い浮かべてくださればいいのですが、徐々に硬くなり肝硬変に至ります。
 
肝臓病で困ったことをひとつあげると、少しぐらいの異常では症状がないことです。
症状が出たときにはかなり病状が悪化していることがよくあります。
その意味でも時々検診を受けることは重要です。